2026年夏季災害における介護・福祉事業所への影響に関する初期スコーピング調査

被害状況と事業継続・復旧支援に関する公開資料の比較

介護BCP教育研究所 調査報告 No.01
発行:2026年9月6日
Ver.1.0

調査概要

2026年夏、国内では大雨、土砂災害、地震が相次いで発生しました。

介護・福祉事業所は、自らが被災した場合であっても、地域の高齢者や要配慮者への支援を継続する役割を担っています。

一方、災害後に、

  • どのような被害が介護・福祉事業所に生じたのか
  • どのライフラインや設備が長期間影響を受けたのか
  • 事業継続や復旧にどのような支援制度が設けられたのか

といった情報は、災害ごとに個別の資料として公表されており、介護事業の視点から横断的に整理された資料は限られています。

本調査では、2026年6月から8月に発生した災害について、内閣府、厚生労働省、気象庁、都道府県等の公開資料を確認し、介護・福祉事業所への影響と事業継続・復旧支援に関する初期的な整理を行いました。

調査目的

本調査は、2026年夏季に発生した主要災害について、介護・福祉事業所への影響と復旧過程を公開資料から整理し、介護事業の事業継続上の課題を検討することを目的としています。

特に、次の3点を確認しました。

  • 介護・福祉事業所にどのような被害が生じたのか
  • ライフライン被害と復旧状況にどのような違いがあったのか
  • 災害復旧に係る財政支援制度が、どのサービスを対象として、どのような要件で設けられたのか

本調査は、個別法人のBCPの妥当性を評価するものではありません。

調査対象

2026年6月1日から8月31日までに発生し、災害救助法が適用された災害。

そのうち、介護・福祉事業所への具体的な影響を公開資料から確認できた次の3災害を中心に比較しています。

  • 令和8年熊本地震
  • 令和8年8月千葉豪雨
  • 令和8年8月27日からの大雨

主な調査結果

1.熊本地震では長期にわたる断水・ガス停止が報告された

厚生労働省第60報では、熊本県の高齢者関係施設について報告期間中最大997施設の被害報告が記載されており、8月31日時点の集計では、停電の報告は1施設であったが、断水241施設、ガス停止102施設であった。

ライフラインは同じ速度で復旧するわけではなく、特に給水に関しては、井戸の復旧、施設内配水管の検査、小規模分散型水循環システム等について国が補助対象を順次周知しています。

2.千葉豪雨での浸水被害

厚生労働省第14報では、千葉県内の高齢者関係施設90施設について被害が報告されており、被害区分では浸水が最も多く、8月31日時点で、72施設であった。

四街道市の介護老人保健施設では、報道によると居室階に被害はありませんでしたが、1階の設備や送迎車両が被災し、入所サービスを継続しながら通所サービスを休止した事例が確認されています。

この事例については、今後個別のケーススタディとして追加調査を予定しています。

3.国と都道府県で被災施設数の集計が異なる例が確認された

8月27日からの大雨では、厚生労働省と富山県が公表した被災事業所数に差が確認されました。

これは必ずしも数値の誤りを意味するものではなく、集計主体、集計時点、「施設」「事業所」といった集計単位の違いが関係している可能性があります。そのため、災害時の公表数値を利用する際には、数値だけを比較せず、「誰が・いつ・何を単位として集計した数値なのか」を確認する必要があります。

4.復旧支援では建物と設備で対象サービスが異なった

熊本県では、建物に係る災害復旧補助と、設備等に係る復旧支援が別に設けられており、設備補助では、訪問介護、訪問看護、通所介護、福祉用具貸与、居宅介護支援などの在宅系サービスも対象に含まれ、パソコンや事業者所有車両も対象経費の例として示されています。

また、被災時の写真がなく、被害状況を確認できない場合は補助対象外となる旨も案内されています。

本調査から得られた示唆

今回の初期調査から、介護BCPについて検討しておくべき重要事項として、以下が挙げられます。

  • ライフラインを一括して考えず、電気・水・ガス等を個別に想定する
  • 建物被害だけでなく、設備・車両・道路等の経営資源を確認する
  • サービス種別ごとに、継続に必要な資源を整理する
  • 被災後の記録方法や保管方法を事前に決めておく
  • 復旧資金、保険、融資、行政支援等をBCPの復旧フェーズとして検討する

ただし、これらは本調査で有効性が実証された事項ではなく、公開資料から確認された被災状況と制度を踏まえ、今後検証すべき点として提示するものです。

調査の限界

本調査は公開資料を中心としており、被災事業所への聞き取りは実施していません。また、行政機関等によって集計主体、時点、単位が異なるため、被災施設数を用いた災害間の単純比較はできません。また、本調査では、災害時情報共有システムに蓄積された個別事業所の報告データを直接利用していない。そのため、行政機関が公表した集計値と、同システム上の入力状況との関係については確認できていない。

事業所ごとのサービス休止期間や再開時期、復旧を妨げた要因についても十分な資料がなく、因果関係の検証は行っていません。

補助金・保険・融資の実際の利用状況、人員への影響、各事業所のBCPとの関係については、今後の調査課題としています。

今後の調査

今後は、次のテーマについて追加調査を予定しています。

  • 熊本地震における介護事業所の復旧経過
  • 千葉豪雨における介護施設の浸水被害と事業継続
  • 北陸大雨における介護・福祉事業所への影響
  • 災害種別による事業継続上の違い
  • 復旧資金・保険・行政支援の実際
  • 被災事業所のBCPと実際の災害対応との照合

調査報告書全文

本ページは調査結果の概要です。

詳細な調査方法、被害状況、比較分析、考察、参考資料については、「介護BCP教育研究所 調査報告 No.01」をご覧ください。

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AI利用について

本調査では、公開資料の探索・整理、比較項目の検討、原稿構成および文章整理の補助に生成AIを使用しました。

掲載する事実、数値、引用および出典については、可能な限り行政機関、自治体、関係機関等の原資料を確認し、最終的な内容の確認、解釈および公開判断は介護BCP教育研究所が行っています。

生成AIの出力そのものを研究上の根拠または出典として使用していません。

引用・利用について

本調査を引用・紹介される場合は、以下の表記をご使用ください。

介護BCP教育研究所(2026)
「2026年夏季災害における介護・福祉事業所への影響に関する初期スコーピング調査―被害状況と事業継続・復旧支援に関する公開資料の比較―」
介護BCP教育研究所 調査報告 No.01