非常用発電機の燃料備蓄と災害時供給を比較
介護施設・事業所の非常用電源
非常用発電機の燃料備蓄と災害時供給を比較
非常用発電機の運転時間は、本体性能だけでなく、施設内に保有する燃料と災害後の補給で決まります。燃料供給契約があっても、道路寸断や需要集中によって配送されない場合があります。
本ページでは、燃料ごとの備蓄・補給の違い、法令上の確認、供給会社との契約、BCPに記載する事項を整理しています。
燃料タンクの容量だけでは運転時間を判断できない
「タンクが何リットルあるか」だけでは不十分です。実際に使用できる燃料量と、施設の負荷で1時間に消費する量を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 燃料の種類 | 軽油、重油、ガソリン、LPガス、都市ガスなど | 発電機の銘板、仕様書、メーカー |
| 使用可能量 | タンク容量ではなく、実際に運転へ使える量 | 設備図面、施工会社、保守会社 |
| 燃料消費量 | 無負荷ではなく、想定負荷ごとの1時間当たり消費量 | 仕様書、メーカー、負荷試験結果 |
| 保管状態 | 燃料の劣化、水分・異物、漏えい、容器・タンクの状態 | 保守会社、燃料供給会社 |
| 補給方法 | 給油口、車両の進入、ホース、立会い、夜間対応 | 燃料供給会社、施設管理者 |
消防設備用とBCP用の運転時間を混同しない
消防設備の非常電源として必要な運転条件と、停電中に介護業務を続けるための運転時間は別に確認します。既設発電機がどの回路へ給電するかを確認したうえで、燃料消費を見積もります。
燃料別に備蓄と災害時供給を比較する
一般的な違いを示しています。実際の保管・配送条件は、設備と契約先によって変わります。
| 燃料 | 施設内での確保 | 災害時の補給 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 軽油 | 固定式発電機の燃料タンク等に保管 | 燃料販売会社からタンクローリー等で配送 | 指定数量、燃料劣化、実負荷での消費量、配送車両の進入 |
| 重油 | 固定タンク等に保管 | 燃料販売会社からタンクローリー等で配送 | 指定数量、タンク・配管、油種の適合、配送可能な事業者 |
| ガソリン | 認められた容器と方法で保管 | 給油所での給油や小口配送の可否を確認 | 引火性が高く、運搬・容器・保管数量の制約が大きい |
| LPガス | 容器またはバルク貯槽に確保 | LPガス販売事業者が容器交換または充てん | 残量把握、供給契約、容器・貯槽、配送経路、設備点検 |
| 都市ガス | 施設内に燃料を備蓄せず、導管から供給 | 導管供給の継続・復旧に依存 | 停電時に使用できる仕様か、ガス供給停止時の代替電源 |
ガソリンは主に小型・可搬型の発電機で使われます。屋内や換気が不十分な場所では、発電機を運転しないでください。
液体燃料は指定数量と自治体条例を確認する
消防法上の指定数量以上を貯蔵・取り扱う場合は、原則として許可を受けた危険物施設が必要です。指定数量未満でも、自治体の火災予防条例による届出や貯蔵基準が適用される場合があります。
| 燃料 | 消防法上の指定数量 | 施設での確認 |
|---|---|---|
| ガソリン | 200L | 容器、保管場所、運搬、給油方法、合算した数量 |
| 灯油・軽油 | 1,000L | タンク、配管、漏えい対策、届出・許可、合算した数量 |
| 重油 | 2,000L | タンク、配管、防油措置、届出・許可、合算した数量 |
複数の燃料は別々に数えない
異なる危険物を同じ場所で貯蔵する場合は、それぞれの貯蔵量を指定数量で割った値を合算して判断します。発電機用だけでなく、暖房用・車両用など同じ場所にある燃料も含め、所轄消防署へ事前に確認します。
LPガスには、消防法上の液体燃料とは異なる法令・基準が適用されます。販売事業者、施工会社、所管機関へ確認してください。
備蓄燃料で何時間動かせるか確認する
運転可能時間の基本は、使用可能な燃料量を、想定負荷での1時間当たり燃料消費量で割って求めます。
| 計算に使う値 | 確認方法 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 使用可能な燃料量 | タンク図面、仕様書、実測、保守記録 | タンク容量の全量を使えるとは限らない |
| 想定負荷 | 停電時に使う機器と回路を積み上げる | 平常時の最大電力をそのまま使わない |
| 燃料消費量 | メーカー仕様と負荷試験結果を確認 | 負荷率によって1時間当たり消費量が変わる |
| 安全余裕 | 試験運転、待機、補給の遅れを含めて設定 | 計算上の残量を使い切る計画にしない |
計算式
運転可能時間 = 使用可能な燃料量 ÷ 想定負荷での1時間当たり燃料消費量
発電機の仕様書に複数の負荷率が示されている場合は、施設が停電時に使用する負荷に近い値を使います。最終的な運転時間は、メーカーまたは保守会社へ確認します。
災害時の燃料供給を三段階で準備する
| 供給ルート | 平時に準備すること | 災害時の限界 |
|---|---|---|
| 第一段階 平時の契約先 | 優先供給、夜間連絡、配送条件、給油方法を契約・覚書で確認 | 在庫不足、道路寸断、停電、同時要請で配送できない場合がある |
| 第二段階 代替供給先 | 異なる配送拠点を持つ事業者、小口配送、対応燃料を確認 | 未契約先から災害時に直ちに供給されるとは限らない |
| 第三段階 自治体等の調整 | 重要施設の対象、要請窓口、様式、施設情報の事前登録を確認 | 対象施設、優先順位、供給量、配送時期は自治体・災害状況で変わる |
住民拠点SSは施設への配送契約ではない
住民拠点サービスステーションは、停電時にも給油できる設備を備えた給油所です。ただし、介護施設の発電機へ燃料を配送することや、施設を優先することが一律に保証されているわけではありません。車両への給油と発電機用燃料の配送は分けて確認します。
燃料供給会社との契約で確認する14項目
「災害時も対応可能」という説明だけで契約せず、配送の成立条件を具体的に確認します。
- 供給できる燃料の種類・規格
- 災害時の優先供給の有無
- 優先供給の対象施設と順位
- 最低・最大配送量
- 通常時と災害時の連絡先
- 休日・夜間の受付時間
- 受注から配送までの目安
- 配送できない条件
- タンクローリーの大きさ
- 施設への進入経路と旋回場所
- 給油口の位置とホース長
- 施設側の立会い・安全管理
- 停電時の決済・伝票処理
- 訓練・現地確認への対応
「優先供給」は数量と時期まで確認する
優先供給の文言があっても、希望量の全量が希望時間に届くとは限りません。供給可能量、受付順、医療機関等との優先順位、道路が使えない場合の扱いを確認します。
燃料確保についてBCPに記載する13項目
契約書を保管するだけでなく、夜間の職員でも要請できる情報をBCPと非常用電源の操作場所に用意します。
- 発電機ごとの燃料種類
- タンク容量と使用可能量
- 残量の確認方法
- 負荷別の燃料消費量
- 燃料補給を要請する残量
- 平時の契約先と連絡先
- 代替供給先と連絡先
- 自治体の要請窓口と対象条件
- 発注時に伝える施設情報
- 配送車両の進入経路
- 給油時の立会い担当者
- 漏えい・火災時の対応
- 燃料不足時に停止する機器
訓練では燃料要請まで行う
残量確認、契約先への連絡、必要量の算出、給油口までの案内、立会い担当者の決定を机上訓練で確認します。可能であれば、燃料供給会社と現地の進入経路・給油方法を確認します。
出典・掲載・広告について
本ページは、2026年9月15日に確認した公的資料をもとに作成しています。法令、自治体条例、供給制度は改正される場合があります。貯蔵設備の新設・増設や備蓄量の変更前に、所轄消防署、燃料供給会社、発電機メーカー、施工・保守会社へ確認してください。
- 群馬県「災害時等におけるガソリン等燃料の供給に関する取組について」
- 資源エネルギー庁「住民拠点サービスステーションについて」
- e-Gov法令検索「危険物の規制に関する政令」
- 経済産業省「災害時の燃料供給の強靭化に向けた対策と進捗状況」
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