24時間・72時間の停電に備える介護施設の非常用電源
介護施設・事業所の非常用電源
24時間・72時間の停電に備える介護施設の非常用電源
長時間の停電では、すべての設備を平常時と同じように動かすことは困難です。停電直後、24時間まで、72時間までに分け、利用者の生命と生活を守る業務へ電力を配分します。
本ページでは、発電機や蓄電池を選ぶ前に決めておく業務、電力、燃料補給、職員の対応を時間順に確認します。
24時間・72時間をどう考えるか
停電対策は「72時間動く発電機を買う」ことから始めるのではありません。時間の経過に合わせて、継続する業務と停止できる業務を決め、必要な電力を積み上げる必要があります。
| 想定時間 | 主な目的 | 施設で決めること |
|---|---|---|
| 停電直後 | 利用者の安全確認と事故防止 | 生命維持に関わる機器、非常照明、ナースコール、通信などへ確実に給電する順序 |
| 24時間まで | 施設内で必要最低限の介護を継続 | 給水、排泄、服薬、食事、温度管理、記録・連絡をどの範囲で続けるか |
| 24~72時間 | 物資と人員が限られる中で事業を継続 | 燃料補給、再充電、勤務交代、物資調達、避難・受入れの判断時期 |
消防設備用とBCP用の電源を分けて確認する
既設の非常用発電機があっても、消防設備へ給電するための設備であり、居室の空調、給水ポンプ、通信機器などにつながっていない場合があります。図面、分電盤、試験結果をもとに、停電時に使える回路を確認します。
停電の経過時間ごとに継続業務を決める
次の表は検討の出発点です。必要な機器は、利用者の状態、建物設備、季節、地域の災害想定によって変わります。
| 時間帯 | 優先する業務・設備の例 | 職員が確認すること |
|---|---|---|
| 0~1時間 | 医療・生命維持に関わる機器、非常照明、ナースコール、館内連絡、エレベーター内の安全確認 | 電源の切替状況、利用者の安全、停止機器、火災・浸水など停電以外の危険 |
| 1~6時間 | 通信、必要箇所の照明、薬剤・食品の冷蔵、必要な医療機器、記録端末の充電 | 復旧見込み、発電機の警報、蓄電池残量、燃料残量、給電回路 |
| 6~24時間 | 給水・排水、排泄支援、簡易調理、限定した区域の空調、情報収集 | 使用電力の絞り込み、燃料消費、職員配置、食料・水・衛生用品 |
| 24~72時間 | 利用者の生活維持、交代勤務、機器の充電、必要区域を切り替える運用 | 燃料補給と再充電の可否、外部支援、避難・移送、地域からの受入れ |
エレベーターは、非常用電源が接続されていても、運転条件や復旧操作が設備ごとに異なります。停電中の継続使用を前提にせず、保守会社へ確認します。
必要な電力を三段階に分ける
機器の一覧だけでは、電力が不足したときに判断できません。業務への影響から三段階に分け、優先回路と運転時間を決めます。
| 区分 | 考え方 | 対象の例 | 決めておくこと |
|---|---|---|---|
| A 継続必須 | 停止すると生命・安全へ直ちに影響する | 利用者ごとに必要な医療機器、非常照明、緊急連絡 | 瞬断の可否、専用電源、予備機、担当者 |
| B 24時間以内に必要 | 短時間は代替できても、一日を超える停止が難しい | 給水、薬剤等の冷蔵、通信、限定区域の空調 | 代替手段、使用時間、交互運転、給電区域 |
| C 制限運用 | 時間や場所を限定して使用する | 調理機器、洗濯、入浴、事務機器、共用部の一部 | 使用開始の条件、同時使用を避ける組合せ |
容量だけでなく起動時の出力を確認する
ポンプ、空調、冷蔵設備などは、起動時に通常運転より大きな電力を必要とする場合があります。使用時間から求める容量に加え、同時使用時と起動時の出力、単相・三相、100V・200Vを専門会社へ伝えます。
24時間・72時間に対応する電源構成
| 電源 | 長時間停電での役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 非常用発電機 | 燃料を確保・補給できれば長時間の給電に対応しやすい | 実際の負荷での燃料消費、保管量、始動・切替、排気、点検、給電回路を確認 |
| 産業用蓄電池 | 停電直後の切替や、必要な機器への静かな給電に使いやすい | 使用可能容量、定格出力、放電後の再充電方法、経年劣化を確認 |
| ポータブル電源 | 通信機器、照明、端末など小規模な負荷を分散して補う | 施設全体の電源の代わりにはならないため、接続機器と担当部署を限定 |
| 発電機と蓄電池の併用 | 蓄電池で停電直後を補い、発電機で長時間運転する構成を検討できる | 切替制御、優先回路、発電機からの充電可否、双方の点検手順を確認 |
「72時間対応」は、設備のカタログ上の運転時間だけでは判断できません。接続する負荷、燃料・充電、職員の操作、保守体制を含めて確認します。
燃料補給と再充電を計画に入れる
長時間停電では、設備本体より先に燃料や蓄電池残量が尽きる場合があります。72時間分を一度に保管する方法だけでなく、消費を抑える運用と補給方法を組み合わせます。
実負荷で燃料消費を確認する
カタログの燃料消費量は、一定の負荷条件で示されています。施設で実際に接続する機器、試験時の負荷、燃料タンクの使用可能量から運転時間を確認します。
災害時の配送を前提にしすぎない
燃料供給契約があっても、道路寸断や需要集中によって予定どおり届かない可能性があります。契約先、代替連絡先、配送条件、給油口までの経路、職員が行う作業をBCPに記載します。
蓄電池を何で充電するか決める
蓄電池は放電後の充電源が必要です。商用電源の復旧を待つのか、発電機や太陽光発電から充電できるのか、充電中も必要な負荷へ給電できるのかを確認します。
季節による優先順位を変える
夏季と冬季では、空調が停止したときの影響が異なります。停電時間だけでなく、外気温、利用者の状態、使用する区域を条件にした運転ルールを決めます。
非常用電源についてBCPに記載する15項目
機器の型式だけでなく、停電時に誰が何を判断するかまで記載します。
- 停電を確認する担当者
- 非常用電源の起動・切替方法
- 最優先で給電する機器
- 24時間まで継続する業務
- 72時間まで継続する業務
- 停止・制限する業務
- 使用禁止のコンセント
- 発電機の燃料残量と確認方法
- 燃料供給先と代替連絡先
- 蓄電池残量と再充電方法
- 警報・故障時の連絡先
- 復旧見込みを確認する方法
- 避難・移送を判断する条件
- 夜間・少人数時の手順
- 定期試験と訓練の実施日
訓練では「起動したか」だけで終わらせない
非常用電源を起動し、予定した機器が使えるか、職員が給電中のコンセントを見分けられるか、燃料や残量を確認できるかまで試します。結果は機器一覧とBCPの見直しに反映します。
出典・掲載・広告について
本ページは、2026年9月15日に確認した公的資料をもとに作成しています。設備の設置基準、消防法令、危険物の保管、補助制度の要件は、施設の所在地、用途、設備構成によって異なります。設計施工会社、メーカー、所轄消防署、自治体へ確認してください。
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