介護施設向け非常用発電機の費用|本体・設置工事・保守を比較
介護施設・事業所の非常用電源
介護施設向け非常用発電機の費用|本体・設置工事・保守を比較
非常用発電機の導入費用は、本体価格だけでは決まりません。必要な電力、設置場所、燃料設備、建物への配線、自動切替、騒音・排気対策、既設設備の撤去によって総額が変わります。
本ページでは、介護・福祉施設が公開した工事実績を示し、導入時と導入後の費用をどのように見積もればよいかを説明します。
先に停電時に続ける業務を決める
発電機の容量を先に決めると、不要に大きな設備を選ぶか、必要な機器を動かせない設備になるおそれがあります。次の順序で整理すると、必要容量と費用の根拠が明確になります。
| 順序 | 決めること | 費用への影響 |
|---|---|---|
| 1 継続する業務 | 食事、排泄、服薬、吸引、見守り、連絡、記録など | 停電時に必要な電力の範囲が決まる |
| 2 動かす機器 | 医療・介護機器、照明、空調、給水、厨房、通信機器など | 必要出力、電圧、相数、電源品質が決まる |
| 3 優先順位 | 同時に使う機器と時間をずらして使う機器 | 最大負荷を抑えられる場合がある |
| 4 必要時間 | 24時間、72時間など施設の継続目標 | 燃料タンク、燃料備蓄、補給計画が変わる |
| 5 運用する人 | 始動、切替、監視、給油、停止を行う担当者 | 自動化、遠隔監視、訓練、保守の範囲が変わる |
消防設備用とBCP用は別に確認する
既設の非常用発電機が消防設備へ電力を供給していても、介護業務に必要なコンセント、空調、給水等へ給電できるとは限りません。消防設備に必要な電源と、BCPで続ける業務の電源を分けて確認します。
介護・福祉施設の公開工事実績8件
公開された落札・契約金額には大きな差があります。金額だけで高い・安いと判断せず、新設か更新か、発電容量、燃料設備、配線、撤去、消費税の扱いを確認してください。
| 施設・発注者 | 工事内容 | 公表金額 | 公表時期 | 読み取る際の注意 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホームトータス | 非常用自家発電設備 | 860万円 税別 | 2020年 | 公開ページで確認できる工事範囲が限定的 |
| 特別養護老人ホームすさ苑 | 非常用自家発電設備工事 | 1,071万円 税別 | 2021年 | 参加4社の入札結果で、詳細仕様は別途確認が必要 |
| 母来寮 | 非常用発電機取替工事 | 1,135万2,000円 税込 | 2023年 | 取替工事であり、新設工事とは条件が異なる |
| 特別養護老人ホームはなみずきホーム | 非常用発電設備改修その他工事 | 1,822万7,000円 税込 | 2025年 | 「その他工事」を含むため発電機単体の費用ではない |
| 特別養護老人ホームえんじゅ・ケアハウスやまぶき | 非常用発電機更新及び設置工事 | 2,310万円 | 2025年 | 2施設を対象とし、公開ページでは税区分が明記されていない |
| 特別養護老人ホームつばさ | 非常用自家発電設備設置工事 | 2,370万5,000円 税込 | 2025年 | 予定価格2,376万円に対する落札金額 |
| 特別養護老人ホーム第二川口シニアセンター | LPガス非常用自家発電設備工事 | 3,044万円 税別 | 2024年 | LPガス発電機の工事で、燃料設備等の範囲を仕様書で確認する必要がある |
| 特別養護老人ホームひろた | 非常用発電設備整備工事 | 4,609万円 | 2024年 | 契約金額で、公開ページでは税区分と詳細内訳が明記されていない |
この表は相場表ではありません。公表金額は約860万円から4,609万円ですが、発電容量や工事範囲が統一されていないため、平均値の算出や単純な価格比較には使用できません。
導入費用を10項目に分けて比較する
見積書で「非常用発電設備一式」とまとめられている場合は、含まれる項目を確認します。同じ本体でも、建物側の工事条件によって総額が変わります。
| 費用項目 | 主な内容 | 金額が変わる条件 |
|---|---|---|
| 現地調査・負荷調査 | 既設設備、給電回路、最大負荷、設置場所の確認 | 図面の有無、実測範囲、既設設備の状態 |
| 設計・申請 | 電気・建築・消防・燃料設備の設計、必要な届出 | 設備区分、燃料、自治体、建物用途 |
| 発電機本体 | 原動機、発電機、制御盤、防音・防雨仕様 | 出力、電圧、相数、燃料、始動方式、メーカー |
| 自動切替・受配電 | 停電検知、自動始動、商用電源との切替、分電盤 | 自動化の範囲、既設盤の改造、高圧・低圧 |
| 燃料設備 | 燃料タンク、LPガス容器・バルク、配管、漏えい対策 | 必要運転時間、燃料種類、貯蔵量、消防法・条例 |
| 基礎・建築工事 | 基礎、架台、防振、機械室、屋上補強、囲い | 設置場所、重量、耐震、防水、既存建物の構造 |
| 搬入・据付 | 運搬、クレーン、養生、据付、搬入経路の確保 | 道路、敷地、階数、屋上、作業時間の制限 |
| 配線・配管 | 電源ケーブル、制御線、排気、換気、燃料配管 | 発電機から受電設備までの距離、貫通工事 |
| 撤去・仮設電源 | 既設機の撤去・処分、工事中の仮設発電機 | 既設機の大きさ、搬出経路、停電可能時間 |
| 試運転・引渡し | 負荷確認、切替試験、操作説明、図面・記録の作成 | 試験方法、立会い、職員訓練、提出書類 |
本体価格が安くても総額が安いとは限らない
既設受配電設備の改造、長い配線経路、屋上への搬入、騒音対策、燃料タンクの新設が必要な場合は、付帯工事が本体以外の大きな費用になります。本体と工事を分けた内訳を求めてください。
導入後の保守・燃料・更新費まで含める
設備を設置しても、点検や燃料管理を行わなければ停電時に始動できないおそれがあります。初期費用だけでなく、使用期間全体の費用を確認します。
| 導入後の費用 | 確認する内容 | 見積もりで分ける理由 |
|---|---|---|
| 定期点検 | 外観、始動、電圧、油脂、冷却、蓄電池、制御盤等 | 法定点検とメーカー推奨点検の範囲が異なる |
| 負荷運転・内部観察 | 消防用設備の非常電源に該当する場合の点検方法等 | 対象設備、実施方法、機器、報告書で費用が変わる |
| 消耗品・部品交換 | 潤滑油、フィルター、冷却水、始動用蓄電池、ベルト等 | 定期点検費に含まれるか別請求かを確認する |
| 燃料管理 | 燃料購入、品質確認、入替え、タンク清掃、災害時配送契約 | 燃料種類、保有量、補給契約によって変わる |
| 故障・緊急対応 | 受付時間、出張、修理、部品、代替機 | 保守契約に含まれる対応と追加料金を確認する |
| 更新・撤去 | 設計、本体、付帯工事、仮設電源、撤去・処分 | 将来の更新時にまとまった支出が発生する |
使用期間全体の費用 = 導入費用 + 点検・部品・燃料・修理費 + 更新・撤去費用
年間保守費を一律の金額で示すことはできません。発電容量、設備区分、点検内容、契約範囲、訪問地域によって異なるため、年次費用と複数年費用を見積書で確認します。
複数社の見積もりを同じ条件で比較する
見積金額だけを並べても、含まれる工事や保守が違えば比較できません。各社へ同じ前提条件を伝え、除外項目と追加費用が生じる条件まで確認します。
| 比較欄 | 会社A | 会社B | 会社C |
|---|---|---|---|
| 発電機の仕様 | メーカー・型式・出力を記入 | メーカー・型式・出力を記入 | メーカー・型式・出力を記入 |
| 給電する回路 | 対象を記入 | 対象を記入 | 対象を記入 |
| 本体・制御盤 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 |
| 設計・申請 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 |
| 設置・電気・燃料工事 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 |
| 撤去・仮設電源 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 |
| 試運転・操作説明 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 |
| 年間保守 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 | 金額・範囲を記入 |
| 保証・故障対応 | 期間・条件を記入 | 期間・条件を記入 | 期間・条件を記入 |
| 見積対象外 | 内容を記入 | 内容を記入 | 内容を記入 |
| 総額・税区分 | 金額を記入 | 金額を記入 | 金額を記入 |
「別途」「一式」「現場状況による」を確認する
追加費用が発生しやすいのは、既設設備の改造、クレーン、夜間作業、仮設電源、アスベスト調査、地中配管、消防・電気関係の追加対応です。金額が確定していない項目は、算定方法と上限の有無を確認します。
BCP上の必要性を予算の根拠にする
「防災のために必要」という説明だけでは、設備規模や投資額の妥当性を判断できません。停電によって中断する業務と利用者への影響を示し、設備費用と運用費用を予算化します。
- 停電時に継続する業務
- 停止すると生命・健康へ影響する機器
- 発電機で給電する回路
- 必要な出力と運転時間
- 既設設備で不足する内容
- 導入・更新しない場合の代替策
- 職員が行う操作と訓練
- 燃料備蓄と補給契約
- 点検・修理の年間予算
- 故障時の代替電源
- 補助金を使えない場合の資金計画
- 更新予定年と積立計画
補助金の採択前に発注しない
補助制度によっては、交付決定前の契約・発注・着工が補助対象外になる場合があります。対象施設、対象設備、基準額、補助率、申請時期を自治体へ確認し、見積もり取得と発注の順序を決めてください。
出典・掲載・広告について
本ページの公開工事実績は、各施設・法人・自治体が公表した入札結果を2026年9月15日に確認して掲載しています。工事金額は、現在の同種工事の見積価格や特定設備の標準価格を示すものではありません。
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