介護施設の非常用電源に使える補助金・助成制度|新設・更新・増強

介護施設の非常用電源整備

介護施設の非常用電源に使える
補助金・助成制度

介護施設が非常用発電機や燃料タンクを新設・更新・増強するときに、最初に確認したい制度が「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」です。

ただし、施設が国へ直接申請する制度ではありません。施設種別、定員、所在地によって窓口が変わり、自治体ごとに募集時期も異なります。2026年度の公式情報をもとに、対象となる設備と申請前の確認事項を整理します。


補助制度の内容、予算、募集時期は年度と自治体によって変わります。申請可否は、工事契約や発注の前に施設所在地の自治体へご確認ください。

2026年度の非常用自家発電設備整備事業

2026年度の「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」には、高齢者施設等の非常用自家発電設備整備事業が含まれています。主な条件は次のとおりです。

確認項目2026年度の主な内容施設側で確認すること
対象事業緊急災害用の非常用自家発電設備と燃料タンクの整備平時利用ではなく、災害時の事業継続を目的とする設備か
補助率国2分の1、自治体4分の1、事業者4分の1とする実施例所在地の自治体が負担分を予算化しているか
補助上限上限なしとする実施例国・自治体の審査と予算により満額採択されない場合がある
補助下限総事業費500万円
燃料タンクを除く
複合施設では対象部分を按分した後も下限を満たすか
必要な稼働時間発災後72時間以上の事業継続が可能な設備必要負荷、燃料消費量、燃料備蓄量を計算しているか
主な対象施設特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、養護老人ホーム施設種別と定員が自治体の対象区分に合うか

補助率と対象施設は、福岡県の2026年度一次協議、旭川市の2026年度事業案内、2026年度補助対象整理表で確認しています。

補助率4分の3が全国一律に保証されるわけではない

国の交付金を活用する場合でも、自治体の予算、審査、対象事業の選定があります。要件を満たしていても不採択や減額となる可能性があります。見積もり時点では、補助金がない場合にも実施できるかを分けて検討してください。

補助金より先にBCP上の必要設備を決める

補助率は対象経費のうち補助される割合、補助上限・下限は対象となる金額の範囲です。補助対象に合わせて機種を決めるのではなく、停電時に続ける業務、必要出力、運転時間を先に決めます。交付決定前の契約・着工が対象外になる場合があるため、施工会社への発注時期も自治体へ確認します。

補助対象になりやすい設備と対象外になりやすい設備

設備・工事扱いの目安確認する条件
据置型の非常用発電機対象となり得る専ら非常時に使用し、施設への付帯工事を伴うこと
燃料タンク対象となり得る72時間の事業継続に必要な燃料量と安全な設置方法
可搬型発電機条件付きで対象となり得る施設に設置するための付帯工事を伴うこと
太陽光発電設備本交付金では原則対象外平時利用を想定するため、別の再エネ補助制度を確認
蓄電池本交付金だけで判断しない平時利用の有無、発電設備との構成、別制度の要件を確認
工事を伴わないポータブル電源本交付金では対象外となる可能性が高い備品購入だけで申請できる自治体独自制度の有無を確認

福岡県の2026年度案内では、平時利用が想定される設備や太陽光等は対象外とされ、可搬型設備は施設に付帯する工事を伴う場合に対象となると示されています。

設置場所と耐震性も審査資料になる

発電機や燃料タンクは、浸水、津波、土砂災害の影響を受けにくい場所に計画します。設備の固定方法について、耐震計算書、アンカーボルト計算書、引き抜き試験結果などを求める自治体があります。

大阪府の案内でも、設置場所の安全性と耐震性を証する資料が必要とされています。機器本体の見積もりだけでなく、基礎、固定、配線、切替盤、搬入経路を含めて計画してください。

新設・更新・増強で確認する違い

新設

非常用電源がない施設に新しく整備する場合は、停電時に継続する業務と必要負荷を先に決めます。施設全体を動かす前提ではなく、照明、ナースコール、給水ポンプ、吸引器、通信機器、空調など、72時間維持する負荷を選定します。

更新

老朽化した既設発電機の更新は、単なる同等品への買い替えではなく、耐用年数、故障状況、部品供給、現在の必要負荷を示せるようにします。更新が補助対象になるかは、年度の実施要綱と自治体の判断を確認してください。

増強

発電容量や燃料タンクを増強する場合は、現在の設備では72時間の事業継続に不足する根拠が必要です。既設設備の定格出力、実際の給電先、燃料消費量、現在の備蓄量と、増強後に維持できる業務を比較します。

補助金のために機種を決めない

補助対象に合わせて機器を先に選ぶと、停電時に必要な設備を動かせないことがあります。必要負荷と72時間の運用計画を決め、その条件を満たす機種と工事を選んだうえで補助対象を確認します。

申請窓口と募集時期

定員30人以上の大規模施設は都道府県、定員29人以下の地域密着型・小規模施設は市町村が窓口となるのが基本です。指定都市・中核市に所在する施設は、定員にかかわらず市が窓口となる場合があります。

施設の所在地・規模最初の相談先2026年9月13日時点の確認例
定員30人以上都道府県の高齢者施設整備担当大阪府は活用意向がある場合の随時事前相談を案内
定員29人以下施設所在地の市町村自治体によって対象施設と要望調査の時期が異なる
指定都市・中核市市の介護施設整備担当神戸市の2026年度一次協議は4月20日で終了
2027年度の整備を希望今年度中に所在地の自治体へ相談高知県は9月15日、熊本県は9月30日を要望調査期限として公表

募集終了後に施工会社へ相談しても、その年度の申請には間に合わない場合があります。翌年度整備の要望調査を前年中に行う自治体があるため、設備更新を検討した段階で窓口へ連絡してください。

再エネ・蓄電池は別制度を確認する

太陽光発電や平時にも使用する蓄電池は、介護施設向け交付金ではなく、自治体の自家消費型再生可能エネルギー補助などが対象となる場合があります。例えば、神奈川県の2026年度自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金は事業者を対象としていましたが、9月3日に予算到達で募集を終了しています。制度名だけで判断せず、設備構成と募集状況を確認してください。

申請前に準備する14項目

自治体への事前相談と施工会社への見積もりを同じ条件で進められるよう、次の項目を確認しておきましょう。

  1. 施設種別・定員・所在地
  2. 補助制度の相談窓口
  3. 要望調査と申請の期限
  4. BCPと非常災害対策計画
  5. 福祉避難所指定の有無
  6. 既設発電機の型式・出力・製造年
  7. 新設・更新・増強の別
  8. 停電時に継続する業務
  9. 給電する機器と必要負荷
  10. 72時間分の燃料量
  11. ハザードマップと設置場所
  12. 耐震固定の方法
  13. 本体・付帯工事・設計の内訳
  14. 同一条件による2社以上の見積もり

交付決定前の契約・発注を避ける

補助協議、内示、交付申請、交付決定の前に契約や発注をすると、補助対象にならない場合があります。施工時期を優先するのか、補助採択を待つのかを法人内で決め、自治体の指示を受けてから契約してください。

2社の見積もり条件をそろえる

発電機本体だけでなく、基礎、耐震固定、燃料タンク、配線、切替盤、搬入、既設設備の撤去、試運転、消防・電気関係の手続き、保守契約まで同じ条件で依頼します。神戸市の2026年度案内でも、工事業者2社以上の見積書が提出資料とされています。

補助制度に対応する企業の方へ

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